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脳科学・神経科学を網羅的に学ぶ必読書

カンデル神経科学

カンデル神経科学は、脳科学・神経科学分野のバイブル的存在。2014年4月に日本語版が出版され、英語や医学用語が得意でない方にも大変読みやすくなりました。脳科学、神経科学について学ぶなら絶対に持っておきたいおすすめの一冊。

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IIT

IITに関して、Clinical Neuroscience Vol 32 no.8 (2014-8)の意識の統合情報理論にわかり易く解説されている。

IITとは?

  • 意識の有無を知るにはどうしたらいいのだろうか?
  • 意識の理論として注目をされているIITがある。IIT提唱者は、精神科医、神経科学者のGiulio Tononi氏。
  • IITは思考実験により作られたもの。フォトダイオードの思考実験。理論によるトップダウンアプローチ。発展途上の理論。数学的にどう定式化するかは議論の余地あり。
  • IITにおける“情報”とは、内的な情報と外的な情報の2つに分類される。意識とは内的な情報であり、温度計が示す温度は外的な情報。
  • 内的な情報は外的な情報とは無関係。内的な情報量は、システム自身の内部状態の可能性と因果性によって増加する。内的な情報量の定量化は、TPM(遷移確率行列)によって計算される。
  • 情報の統合の度合を統合情報量と呼ぶ。最大の統合情報量を生み出す要素の組み合わせをコンプレックス(complex)と呼ぶ。IITでは、コンプレックス(complex)が意識の座。

IITと脳意識の関係

  • 左脳と右脳はそれぞれ1つで意識を持っている。
  • てんかん患者など脳梁がなくなると、左脳と右脳は独立した意識が生まれたかのような振る舞いを示す。
  • では、脳梁の結合を徐々に弱める実験をしたらどうなるか?1つの意識が2つに分離する相転移点があるはずであり、強めれば一つに総合される相転移点があるはず。統合されると、それまで存在していた“2つの意識はその存在が消えて”、“まったく別の意識を持った存在が現れる”。

指標関連

  • IITの実験的予測として、睡眠時、麻酔時、植物状態などでの統合情報量の低下を示唆するものがいくつかある。
  • 脳のような巨大なシステムではTPMは困難なので、提唱者自身も脳波(EEG)から近似的に情報統合量を測定している。
  • 意識レベルが下がった状態では、領野間の機能的な結合が断絶され、情報の統合度合が下がる。
  • Casaliは、PCI(perturbational complexity index)という指標で定量化することで、覚醒状態と意識レベルが下がった状態を弁別することに成功した。PCIが素晴らしいのは、睡眠、麻酔、植物状態といった異なる意識状態を全く同じ指標で覚醒状態から弁別できること。臨床の現場でも使われている麻酔深度指標BIS(bispectral index)では、無意識状態と意識のある状態を信頼度高く弁別しない。

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